2007年06月04日

田淵幸一インタビューは野球ファン必読

「ファイブエル」をひょんな事から定期購読しはじめました。
 木村政雄さんが編集長を務める月刊のフリーペーパーで、「団塊世代のエンターテイメント誌」を謳い文句としています。関東、関西の旅行会社とか、ゴルフ場、ホテル、銭湯、料亭、喫茶店などに置いているとのことで、当方の馴染みが無いところばかり。というわけで、年12回、送料だけの1,800円を負担して申し込んでみました。
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 それで6月号のメインは、関西人には懐かしい田淵幸一氏や、中国代表コーチに就任して物議を醸しているシンクロ・スイミングの井村雅代氏のインタビューで、結構読めます。
 ユン・ヒウォンさんという方の「ユン博士の金融流体力学」という記事は、題名が奇抜なものの、第1回目は自己紹介ということでサワリさえないのが残念です。

 全体としての感想は、無料なら暇つぶしにいいかなあという程度でしょうか。
 執筆者が既に名を成している人ばかりで内容が意外性に欠けるし、文章としてのエンターテイメント・レベルもちょっと低い感じです。
 まあ、無料誌とはいうものの、当方はお金を払っていますので、辛口になるのは仕方ないかも知れません(^_^;

 それから、人間50歳ともなれば(もちろん10歳代でも)、読者として何らかの形で物申したい、情報発信したいのが自然ですよね。その仕組みが欠けているのが気になりました。双方向性が当たり前のインターネットの時代に、お仕着せのテキストを読ませるだけのシステムは、相当に高度な中身が必要なはずです。2005年11月号から20冊も発行され続けているというものの、ビジネスモデルとして他人事ながら、ちょっと心配しています。

 しばらくしたら、前述のサイトの方に6月号の記事が掲出されるでしょうから、タブチくんのファンの方は是非、御訪問ください。
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2007年05月13日

大学生の論文執筆法

大学生の論文執筆法
石原千秋著ちくま新書(2006年刊)

 この春、めでたく大学生になった息子が持っていて、借りて読んだ本です。
 もちろん主題は、「大学でレポートを書くときは、はっきりとした一人の読者(教官)がいて、その問いに答えるという明確な目的があるのだから、それに合わせて書け」というハウツーで、若人(ロートルの私も)を真っ当に導こうとする温かみに溢れています。

2部構成の前半、「秘伝人生論的論文執筆法」は平明に書かれていて、一気に読むことが出来ました。論文という枠を越えて、確かに「人生論的」でもあり、自虐気味のスタンスも好感が持てます。 駒田信二著「私の小説教室」を思い出し、出藍の誉れ輩出の予感がします。文中に例示されている書評の対象となった高田里惠子著「文学部をめぐる病い」は読んでみたいですね。
 一方、後半の「線を引くこと−たった一つの方法」は、論文展開の手法として「二項対立」、すなわち事象を二つに分けて対比する方法を数編、例示してくれていますが、著者の論理は単純明白な(様に見える?)ものの、引用文がどれも専門家=学者=研究者向けということで、私には余りにも難解に思え、飛ばし気味に読んでいます。

 ところで本書p128に「この第一部の奇妙な形式は、ある有名な哲学書を真似ている」とあります。その本とは何でしょう?翻訳が文庫で岩波文庫とちくま文芸文庫から出ているというのがヒントですが、当方は理工系なもので……

ラベル:家族
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2007年05月07日

エキスポランドの事故

5月5日、痛ましい事件が起きてしまいました。
私も20年ほど前、ジェットコースターの安全を維持するお手伝いをしていた経験がありますので、身につまされる思いです。原因はこれから究明されるでしょうが、遊園地の乗り物のウィークポイントは、回転曲げを受ける車軸や、衝撃の加わる溶接部分などたくさんあって、これらは疲労破壊に至りやすい箇所といえます。もちろん、この類の事故は今に始まったことではなくて、蒸気機関車の昔から、繰り返し、繰り返し、起きてきました。事故を直接知っている訳ではないのですが、ちょっと書かせてください。

根本的に、皆さんは、こんな事故を防ぐことは簡単なはずだ、と思われることでしょう。しかし、 疲労破壊には、大変に難しい面があります。

それは、予兆の発見が困難なことです。

すなわち、延びや曲がりとか、摩耗は、目で見て直ぐに感知できます。しかし、疲労はそうではありません。深く静かに進行するのです。そして、ある日突然、折れます。
疲労には3つの段階があります。先ず第1は、文字通り、疲労がたまる段階で、外から見て全く判りません。第2は、微細なクラック(亀裂、ヒビ)が発生して進展する段階。そして第3は、残存部分で持ちこたえ切れなくなって破断というステップです。

この第2段階のクラックを早く発見すればよいのですけれど、これが大変に難しいのです。
「ヘアークラック」という呼び方があります。髪の毛の様に細い亀裂という意味です。疲労によるクラックは、旋盤のバイト目や溶接のビードの中に隠れていることが多く、肉眼で確認できることは極めてまれです。そのため、 磁粉探傷 、 超音波探傷 、 カラーチェックといった検査を行うことになります。この内の磁粉探傷が鋼材に最適で、実用的な検査方法です。ただ、機械と準備が大がかりで、操作や判別にソコソコの熟練を必要とする上に、予め怪しいところが判っていないと、実際に効果を上げることは困難です。ですから、分解検査を実施したところで、発見できないことは十分に考えられます。また遊園地単独で、機材と専任スタッフを抱えることは経済的にも大変なことです。
 まさにここに、行政、あるいは遊園地協会がこれから考えていかなければならない点があると思います。

 ではたった今、どうしたらいいのかといえば、それは、毎日の打音検査しかありません。
 蒸気機関車の周囲を機関士がテストハンマーを持って、あちこちを叩いて回るシーンを写真や映画で見た記憶を、多くの皆さんはお持ちのことでしょう。
 余りに原始的ですが、これが凄いのです。差し障りがあってここには披露できないものの、私がかつて在籍していた会社では、これに何度救われたか知れません。いつもは、「カーン」と響く音が、「ガーン」とか「ゴーン」と鳴れば、たちどころに異常が判ります。単に叩くだけですから、たくさんの箇所を短時間に調べられます。クラックは音色を鈍く変化させます。また、ボルトの弛みも判ります。

 同じ検査員が毎日、同じ手順で確認する。これが大事なのです。
 エキスポランドの場合、マスコミに報道された、1年毎の分解検査の延期よりも、この毎日検査の方に問題があった可能性があります。担当者が楽な姿勢でコースターの足回りを見て回れる検査施設が、完備していたのでしょうか。

 他にも疲労破壊には、事前の強度計算を省いた思わぬ箇所で発生するという面もあって、三菱トラックの失敗など、枚挙にいとまがありません。個人的な経験から言わせてもらえば、設計での考慮不足が原因だったことの方が、溶接や機械加工といった作業上の偶発的な欠陥よりも、遥かに多いのです。

 ただし、最初から完璧な機械を設計することは神様でも不可能です。ですから、定期的で地道な検査と、その結果を設計や運営体制にフィードバックするシステムの存在が必要不可欠であることは、言を待ちません。今回の事故でも、この組織上の欠陥にどこまで迫れるか、という点が再発を防止するための大きなファクターとなります。




【追記】その後の新聞報道(5月7日読売新聞夕刊)に拠りますと、「年1回の定期検査で車体を解体し、超音波で車軸内部の傷も調べてきた」とのことですが、これには怒りを感じます。だいたい、超音波検査は、予め疲労亀裂の入る位置が判っている場合に、そこを目がけ超音波を発射して反射エコーを調べる検査で、内部がレントゲン検査の様に鮮明に判る様なシロモノではありません。ただ、エコーの減衰率を継続的に測定して、材料の老化を判断するという根拠のない検査もありますが、圧入してあるベアリングや車輪を抜かないで検査できるというメリットがあって、これだけでもズサンな検査体制が露見していると私は思います。

【追記2】要は、「事故は絶対に起こさないぞ」という強い意志ですね。検査方法は、それを実現するための単なる手段の一つであって、それさえやれば「全てOK」という免罪符ではありません。営業的な利益を得ながらだって、無事に運営している遊園地はたくさんあります。特に初期の"ヘアークラック"は、執念がなければ磁粉探傷でも見つけるのは困難です。

【追記3】今朝の新聞報道(読売新聞5月11日付)に拠れば、疲労亀裂と思われる波状面が見つかったとのこと。たぶんそうだろうと思います。一説によると、この波の数を顕微鏡で数えると、亀裂の進展する力の掛かった回数が分かると言います。すなわち、いつ傷が入り始めたかを予想できるということですが、大変な作業なので私には経験がありません。
 また、傷が疲労ならば、原因は構造的なものですから、他の車の同じ軸にも入っているはずです。ただし、それは設計や製造に責任を転嫁できるものではなくて、あくまで、運営側が検査で防がなければいけなかった問題です。

 また、国土交通省筋が対策として、担当者の教育や資格の強化、検査結果報告の細密化を検討しているようですが、他の業界での事例や、要員確保、費用などの面で、実際に効果を上げられるかは疑問です。本質的にはトップの意識ではあるものの、その全員に求めるのは不可能ですから、実現可能な対策は、専門検査機関の創設だと私は思います。

【追記4】いつかは誰か言ってくれるものと期待していたのですが、誰も指摘せず、無責任に繰り返されているのは、JIS規格(日本工業規格)のことです。「JISに、1年に1度、分解検査と書いてある」とマスコミが主張していることは判るとして、どうして遊園地が法令でもないJISに従わなければならないかということです。もし、その遊園地がJIS規格を謳っていたら別ですけれど、そんなところは聞いたことがありません。ただし、本来なら検査基準を役所の省令、規則、通達とするべきを、そうしないで、遊園地と無縁なJIS規格に押し込めた理由があったはずです。JISの解説か、雑誌に出ていた様な……。

posted by ワークスK at 02:05| Comment(0) | 読みもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月03日

博士の愛した数式

 カミさんに図書館で借りてもらった表題の本を読む。去年だったか映画になり、風変わりなタイトルもあって興味をそそられた小説。

 手練れの筋運びは、さすがプロと感心する。私自身、理工系出身なのだけれど、途中に出てくる数学は半分くらいしか理解できない。身内に認知症の者がいるので身につまされたものの、現実はもっと厳しい。ダスティン・ホフマンとトム・クルーズの「レインマン」に似ていなくもない。
 小説家から事前に取材を受けたという数学者の解説が興味深い。江夏の背番号が完全数だったとか、古い阪神タイガースファンは、もっと面白く読めるはず。

【追伸】インターネットを検索すると、本書への言及をゴマンとヒットし、ベストセラーであることを実感。と同時に、この文を書いてしまったことが妙に陳腐に思えてきてもいる。

【追伸2】タイミング良く5月19日の土曜日、関西テレビで21時から放送された。エピソードがところどころ変えられているものの、原作の雰囲気を良く伝えている。寺尾聡は父親の宇野重吉に似てきた、とはカミさんの弁。 映画の公式サイトが結構、いい。



この記事へのコメント

初めまして!かな??
私はこの本を友達推薦で読んで、しばらくしてからDVD借りて見ました。
ちょっとイメージが違ったけれど、いい感じに作られていましましたよ。
私は数学は縁を切った人(!)なので、数字の出てくる所は、かなりハショリましたが、
でも、意外と面白いかも・・・と感じたところもあります。
なんだか、心が穏やかになる本でしました。
映画もご覧になってくださいね。

2007年5月3日午後11時33分[1338496]で豊ママ投稿者
posted by ワークスK at 08:33| Comment(0) | 読みもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする